日本の夏の印象と言えば、ズバリ熱帯並の高温多湿。毎年もううんざりという方も多いことでしょう。大陸東岸に位置しているためなまじ冬が寒いことが、夏の気候を一層耐え難いものにしてもいます。近年では、この元来の暑い夏に、都市化によるヒートアイランド現象などによる気温や体感温度の上昇が加わって、特に都市部での苦痛は倍加しています。
さて、日本の夏をこうして住みにくくしている最大の元凶はその「多湿」。では試しに、気温はこのままで、湿度だけ限りなく0%まで下げてみましょう。どんなことが起きるか想像がつきますか?では実際に体験・・・と言っても日本では無理なので、十数年前お隣中国のゴビ砂漠へ研究で出かけた折りのエピソードを一席。
訪れたのは、砂を30センチも掘れば水気が出てくるゴビの入り口、「なーんちゃって砂漠」。それでも空気は非常に乾いていて、昼の湿度は未体験の5%以下。気温は日中軽く30度を超えますが、汗一つ流れず、風呂の無いのが苦にならない快適さ。洗濯物の乾燥も数十分で完了。夜も、ワラベッドで寝汗もかかず快適そのもの。
しかしその一方で、弊害も多々。寝る前には部屋中に水を撒かないと喉をやられ、大声で話してもそう。カメラなどの精密機器は細かい砂が詰まってすぐ動かなくなります。そして、日中怖いのは熱中症ではなく脱水症状。砂漠で水も飲まず数時間うろうろしようものならてきめん、足は重くなり全身を脱力感に襲われます。汗も流れず、暑いという自覚がないので、とても危険です。まさに「アラビアのロレンス」状態。屋外作業後に顔を洗った洗面器の水は、吹き出した塩分でみそ汁より濃い塩味に変わってしまいます。田舎ともなれば、ロバが運んできてくれるカメ一杯の水で一日のすべてを賄わねばなりません。たまに行くなら面白いで済みますが、毎日毎年となれば・・・
極端な乾燥気候を引き合いに出されても納得行かないかもしれませんが、乾燥地の暮らしもそれなりに大変だということです。我々は日本で暮らすしかない以上、湿度の存在が快適にしてくれている面もあるのだとばかりにこの気候を受け入れ、少しでも快適に過ごせるよう適合して行かねばならないと思います。せめて服装は、フィリピン並みに偉い人もそうでない人も半袖の開襟シャツで公私通せるようになるといいのですが。猛暑の最中、知人の結婚式に列席してつくづくそう思いました。